リハきそ

整形外科領域を中心とした理学療法の臨床・教育・管理などの情報を発信します!

脳報酬系と動機づけのメカニズム

リハビリテーションを進めていく上で、患者さんのやる気を向上させ、維持していくことは非常に大切なポイントになります。 それはまた、後輩や新人を指導し、成長させて上でも必要になってきます。 今回は、やる気や意思決定などに関わる脳報酬系についてま…

痛みを調節する仕組み~pain modulationのメカニズム~

痛みは、侵害刺激を受容するTransductionから始まり、Conduction(活動電位の伝導)、Transmission(シナプスでの神経伝達物質を介した伝達)という仕組みを通じて、末梢から脳まで伝わり、Perception(知覚)されます。 そして、この知覚された痛み感覚・痛…

侵害受容性疼痛の神経生理学を理解する

疼痛は原因別に大きく3つに分類することができます。 侵害受容性(炎症性)疼痛 神経障害性疼痛 心因性疼痛(認知性疼痛) 侵害受容性疼痛と神経障害性疼痛は、器質的な異常に起因することから、器質性疼痛と呼ばれます。一方、心因性疼痛のように明らかな器…

運動がもたらす鎮痛効果〜Exercise induced hypoalgesia(EIH)〜

運動療法は理学療法士が臨床で行う頻度が多い介入の1つです。 運動療法とは 身体の全体または一部を動かすことで症状の軽減や機能の回復を目指す療法(Wikipedia「運動療法」より引用) であり、臨床上ではROM exや筋力トレーニングから歩行練習、有酸素運動…

「動かさない」が痛みを引き起こす~immobilization induced pain~

骨折のように身体組織に何らかの損傷が起きたとき、組織の修復を図るために「安静」や「固定(不動)」が必要になることがあります。 代表的な例は、骨折や手術後のギプス固定ですね。 組織治癒を得るためのこの処置により、関節可動域制限や筋力低下といっ…

痛みのきそ~痛みの定義と多面性~

整形外科理学療法において、痛みはもっとも問題として挙がることが多い症状ではないでしょうか? 人の痛みについては、まだまだ解明されていないこともありますが、分かってきていることも多くあります。 この、「分かっていること」をきちんと押さえておく…

リハの質を上げる取り組み〜MTDLPの導入〜

さて、前回はチーム制のメリット・デメリットを考え、実際に導入してから見えてきたことを紹介しました。 今回は、チーム制を導入したことで明らかになった課題に対応するため、当部門で採用したMTDLP(Manegement Tool for Daily Life Performance:生活行…

リハの質を上げる取り組み〜チーム制の導入〜

リハビリテーションの質を上げる。 これはいつまでも取り組み続けなければいけない課題ですよね。 筆者が今、管理者として働いている回復期リハビリテーション病棟でも、どれだけリハの質を高められるか日々模索しているところです。 そんな中、当部門で実践…

中枢性感作症候群と中枢感作-概論-

今回のテーマは中枢性感作症候群(Central sentivity syndrome:CSS)です。 CSSについて報告したYunus (2008) の論文を中心に紹介していこうと思います。 また、CSSに関与するとされる疼痛の中枢性感作(Central Sensitization)についても、その概要に触れて…

鎮痛剤の種類と作用機序

整形外科疾患で最も多い症状は「痛み」でしょう。 理学療法が処方される前から何らかの鎮痛剤を処方されている方がほとんどだと思います。 したがって、理学療法士は、鎮痛剤の種類、作用機序、効果が続く時間、副作用などなど薬剤に関する知識をしっかりと…

腰痛の隠れた原因-殿皮神経障害-

久しぶりの投稿になります。今回は腰痛の原因として、近年注目されている殿皮神経障害についてまとめていきたいと思います。 <アウトライン> 殿皮神経障害とは 殿皮神経の解剖 疫学 臨床症状と診断 治療 殿皮神経障害とは 殿皮神経障害は、上殿皮神経(Sup…

末梢神経損傷の基礎 損傷機序〜回復過程

さて、タイトルの通り、今回は末梢神経損傷について成書を中心にまとめていきたいと思います。 末梢神経の構造・機能、損傷の病態、回復過程について、しっかりと押さえておきたい事項を書いていきます。 <アウトライン> 末梢神経とは 末梢神経の機械的特…

振動刺激と運動錯覚:メカニズム~臨床応用

運動イメージや運動錯覚を用いた介入が注目されていますね。 筆者も大分乗り遅れてしまいましたが、この現象について調べてみました。 腱に対する振動刺激により、実際は動いていないのに動いていると感じるものを運動錯覚(Kinesthetic illusion)と呼びま…

股関節不安定性③:筋による制御

股関節不安定性第3弾。今回は不安定性の動的制御についてまとめていきます。 (1)股関節の副運動 まず、股関節の不安定性に関わる、臼蓋内での大腿骨頭の副運動量に関する報告をまとめていきます。 骨形態学的に安定した構造である股関節でも、その他の滑膜…

股関節不安定性②:3つの不安定性

股関節不安定性、第2回は不安定性が生じる原因を「外傷性」・「非外傷性」・「医原性」の3つに分けて説明していきたいと思います。 ①外傷性股関節不安定性の発生機序と診断(文献1~3) 外傷性股関節不安定性(Traumatic Hip Instability)の場合、患者さんは…

股関節不安定性①:股関節の安定性に寄与する組織

股関節深層筋に続き、股関節の不安定性について3回に分けてまとめていきます。 第1回は股関節の安定性に関わる、構造および靭帯などの静的安定機構を中心に紹介します。 股関節はBall and Socket型の多軸性関節で,大腿骨頭と寛骨臼蓋の一致性により,構造的…

股関節深層筋:内閉鎖筋

股関節深層筋シリーズ第3弾は内閉鎖筋です。 前回の外閉鎖筋同様、股関節の短外旋筋群の1つです。股関節のインナーマッスルはどの筋も特徴的な働きをしていますが、この内閉鎖筋も例外ではありません。 まずは、内閉鎖筋の基本情報についておさらいしていき…

股関節深層筋:外閉鎖筋

股関節深層筋シリーズ第2弾は外閉鎖筋です。 解剖学的には、短外旋筋群の1つとされますが、股関節外旋作用だけでなく非常にユニークな機能を持っている可能性がある筋です。 まずは、外閉鎖筋の基本情報をまとめていきます。 上記の通り、外閉鎖筋は、閉鎖膜…

股関節深層筋:小殿筋

今回からは、股関節深層筋(小殿筋、梨状筋、外閉鎖筋・内閉鎖筋、大腿方形筋など)の機能解剖や運動中の活動について紹介していきます。 第1回は小殿筋(Gluteus Minimus:G-min)です。 まずは、筋の基本的な事項をおさらいしておきましょう。 小殿筋は、…

圧迫骨折 新鮮例の画像所見と床上安静治療の効果

今回は椎体圧迫骨折(Vertebral Body Fracture:VBF)の受傷直後の画像所見と、重症例に対する床上安静治療の効果についての報告を紹介します。 画像所見 1)新鮮例 まず受傷直後の画像所見。画像所見から、骨折部が急性期なのか否かが分かります。特に、以…

動作中に椎体に加わる負荷 Part4 :日常生活動作

さて、椎体に加わる負荷シリーズは、今回で最後となります。 最終回は、日常生活でよく行う動作がどれだけ椎体に負荷を加えているかを調査した、A. Rohlmannらのin vivo研究を紹介していきます。 椎体圧迫骨折(Vertebral Body Fracture:VBF)の患者さんが…

動作中に椎体に加わる負荷 Part3:座位

椎体に加わる負荷 Part3 は座位姿勢についてです。 座位と一口に言っても、椅子の高さや背もたれの有無、座るときの姿勢などさまざまなバリエーションがあります。 座位姿勢は腰椎椎間板の内圧を高める姿勢でもあり、椎体に関しても同様のことが言えるのか?…

動作中に椎体に加わる負荷 Part2:起居動作

椎体に加わる負荷 Part2 では、寝返りや起き上がり動作時の椎体負荷量に関する報告を紹介します。 椎体圧迫骨折(Vertebral Body Fracture:VBF)後の患者さんでは、寝返り動作や起き上がり動作時に強い痛みを訴える方が非常に多いですね。 寝返り動作では、…

動作中に椎体に加わる負荷 Part1:歩行

はじめての投稿です。 今後ともよろしくお願い致します! 今回は、様々な動作中に椎体が受ける負荷量についての報告をシリーズにしてまとめていきたいと思います。 骨粗鬆症患者さんに多く発生する椎体圧迫骨折(Vertebral Body Fracture:VBF)。保存的治療の…